カラフルでキュートな羽二重餅と紅茶の物語、始まります

山田桂月堂の『羽二重餅』は、見た目のシンプルさの中に詰まった幾重にも折り重なる和と洋のハーモニーに、どこか別の世界に誘われたかのような気持ちにさせられる新感覚の和菓子です。和菓子といえば日本茶が定番ですが、羽二重餅の持つ味わいの広がりは、紅茶との相性も抜群。さまざまなフレーバーや飲み方を楽しめる紅茶と一緒に味わうことで、羽二重餅をよりおいしく楽しく味わうことができます。

明治時代に創業した大館市を代表する和菓子店「山田桂月堂」の新感覚和菓子『羽二重餅』を、気軽に楽しく味わっていただけるよう、同じく明治時代に日本に登場した紅茶と共に味わう物語を、大館市在住で英国紅茶研究家として活動中の私、斉藤由美がシリーズでお届けすることになりました。

カラフルでキュートな羽二重餅を、紅茶とともに味わう時間。季節の彩りとともにお楽しみ下さい。

【第1回】伯爵が愛した紅茶が奏でる味のグラデーション

羽二重餅<ティラミス> × 紅茶<アールグレイ>

伯爵が愛した紅茶が奏でる味のグラデーション - ティラミス羽二重餅

「アールグレイ」・・・きっと名前はご存知の方が多いことでしょう。さわやかでやさしく、どこかエキゾティックなムード漂う香りは、特に女性を中心に人気の紅茶です。紅茶は基本的には産地で分けられており、よく耳にする「ダージリン」、「セイロン」などは、産地の名前。では、「アールグレイ」ってどこにあるのでしょう?

「アールグレイ」は産地の名前ではなく、人の名前です。「アール(Earl)」は英語で「伯爵」のことを意味し、「グレイ(Gray)」は人の名前、つまりアールグレイは、グレイ伯爵の紅茶なのです。中国から持ち帰られたエキゾティックな香りと味わいを持つこの紅茶をすっかり気に入ったグレイ伯爵が、紅茶商にこの香味の紅茶を作って自分の名前をつけることを許可したことから、「アールグレイ」という紅茶が誕生しました。

アールグレイ紅茶は、茶葉にベルガモットという柑橘系果物の皮から取れるオイルで着香したものです。もともとは中国産の紅茶に着香されていましたが、次第にベースの紅茶(注1)の種類も広がってきました。同じベルガモットの香りでも、ベースの茶葉が違うと味わいも変わってくるのが紅茶の魅力でもあります。

(注1)ベースの紅茶とは
アールグレイやアップルティーなどのように紅茶に他の香りを着香した紅茶をフレーバードティーといいますが、どのような紅茶に香り付けをするかにより、味わいも変わります。ベースの紅茶とは、香りをつける前の紅茶のことで、中国産、スリランカ産、インド産など、基本的には産地別の紅茶のことを指しています。

伯爵が愛した紅茶が奏でる味のグラデーション - ティラミス羽二重餅

その香りと共にいただきたい羽二重餅は、「ティラミス」。カカオの深い味わいとマスカルポーネのコクが、さわやかな香りに包まれて口の中に広がり、離れたかと思うとまた出会うような不思議な感覚が膨れ上がっていきます。

「羽二重餅」・・・このネーミングが彷彿させるキメ細やかさが重なり合う食感。やわらかくて軽い光沢ある布に織り上げられる羽二重織からヒントを得た羽二重餅は、やわらかく繊細な口当たりです。ここに、生クリームや季節の食材を加えて新たな世界を作り出したのが山田桂月堂の羽二重餅。和菓子なのに洋菓子の風味も持ち合わせていることで、合わせる紅茶によって味わいの広がりを幾重にも楽しむことができる魅力溢れる逸品です。

和菓子というと塗り物や和食器でという概念も、羽二重餅と紅茶のティータイムでなら楽しく打ち破ることができます。洋食器を使い、レースペーパーを敷いたり、これからの季節ならガラスの器も涼しげで素敵。和菓子には不釣合いと思われるようなカジュアルスタイルの食器も、羽二重餅ならポップに楽しめそう。新感覚の和菓子は、テーブルコーディネートの世界も広げてくれ、ティータイムのセンスを磨く機会も与えてくれます。

伯爵が愛した紅茶が奏でる味のグラデーション - ティラミス羽二重餅

アールグレイの香りとともに味わうティラミスの羽二重餅。準備ができたら、まず、カップから立ち上るアールグレイの香りを楽しみましょう。そして、羽二重餅をひと口。口の中でしっかりとその味の深さを受け止めたら、アールグレイを口に含みます。香りと共に口の中に広がる味わいのグラデーション。これを繰り返すと、その味わいのハーモニーが幾重にも広がっていくから不思議。伯爵が愛した紅茶は、海を越え時を越え、和菓子と出会うことで、ティータイムの新たな楽しみをわたしたちに気づかせてくれます。

斉藤由美(英国紅茶研究家/ライター)

斉藤由美(英国紅茶研究家/ライター)

日本紅茶協会認定ティーインストラクター、ティーアドバイザー。

大学卒業後、ブルックボンド紅茶に勤務。その後、ユニリーバでリプトン紅茶のPRを担当、20年以上にわたり紅茶メーカー勤務の経験を持つ。

これまで多数の紅茶セミナー、講演、テレビ出演、ラジオ出演、雑誌、新聞などでも活躍。現在は秋田県大館市の自宅で紅茶レッスン「イギリス時間、紅茶時間」を主宰するほか、秋田カルチャースクール、ヨークカルチャーセンター弘前で英国紅茶講座を担当している。

主なテレビ出演:「ためしてガッテン」(NHK)、「王様のブランチ」(TBS)他。四冊目の著書「しあわせ紅茶時間」(日本文芸社)を2015年10月に出版、好評発売中。

秋田県大館市在住。

羽二重餅ギフト12個入りのご紹介

 生クリーム入り抹茶羽二重餅3個、いちごクリーム入り羽二重餅2個、えだまめ羽二重餅2個、黒蜜クリーム入りくるみ羽二重餅2個、季節の羽二重餅3個を詰め合わせました。お世話になったあの方や、職場など、さまざまなシーンで活躍するギフトです。