【第7回】爽快な香味の紅茶がマンゴーの甘みを引き出す絶妙コンビ

羽二重餅<マンゴークリーム> × 紅茶<セイロンウバ>

紅茶とスイーツの相性とは本当に面白いもので、それぞれの味わいが個性的だと、混ざりあったときの味わいのイメージがなかなかしにくいものです。通常、クセがある個性的な味わい同士は、そのとがった部分がぶつかり合って、組み合わせとしてはあまり適さないことが多いのですが、その個性が互いを讃え合いながら吸収し合って、絶妙の味わいをもたらしてくれることも。この辺は、人とのお付き合いに似ているものがあるかもしれません。

【第7回】爽快な香味の紅茶がマンゴーの甘みを引き出す絶妙コンビ
トロピカルフルーツの代表的存在であるマンゴー。ここ10年ほどの間に、マンゴーを使用したスイーツは洋菓子店の定番商品ともいえる存在となりました。カウンターでスイーツを提供してくれる有名な洋菓子店が東京にありますが、ある日その店を訪れたときに、マンゴーを使用したスイーツを勧めていただきました。何の飲み物を合わせるかさんざん迷って、ちょっと冒険してみようかなと思い、爽快な渋味が特徴のスリランカの紅茶「ウバ」を一緒に注文してみました。このときに味わった両者の相性の良さに驚き、その後紅茶好きの新聞記者の方と一緒に、再びこの相性を試しに行きましたが、新聞記者の方もこの相性にはかなり驚いて、納得したように何度もうなづきながら口に運んでいたことを思い出します。

第3回目のコラムで、「セイロン」という紅茶を紹介しましたが、セイロンとはスリランカのこと。独立前の国の名前で、スリランカで産出される紅茶は現在でも「セイロン紅茶」と呼ばれることのほうが圧倒的に多く、日本に輸入されている紅茶の半数以上が、スリランカから届くセイロン紅茶です。スリランカの国内では、紅茶産地がエリアによって7地域に分けられており、「ウバ」というのは高地にある産地の地域名。ここで産出される紅茶は、さわやかな渋味とキレのある爽快な渋味が特徴です。

【第7回】爽快な香味の紅茶がマンゴーの甘みを引き出す絶妙コンビ
「渋み」というと、ネガティブに感じる方も多いかもしれませんが、紅茶の味わいを評価する際、舌の上に残らないすっきりした渋みは、おいしい紅茶の条件のひとつとしても挙げられる、紅茶にとっては重要な要素でもあります。しかしながら、この重要な要素である渋みは、食べるものによってその感じ方にも変化があり、それが「相性」の良し悪しにつながるポイントともいえましょう。

ウバの持つさわやかな香りと渋みは、マンゴーの深い深いとろけるような甘みの中で、心地よく溶け合っていきます。山田桂月堂のマンゴークリーム羽二重餅は、最初口に含んだときはそれほどマンゴーの味わいや甘さを感じませんが、ゆっくりと時間をかけてジワジワとマンゴー味が口の中に花開いていきます。まるで、マンゴーが眠りから覚め、やさしく私たちに語りかけてくれるような気持ちになる瞬間です。

【第7回】爽快な香味の紅茶がマンゴーの甘みを引き出す絶妙コンビ
ウバ紅茶の刺激的な味わいが南国フルーツ・マンゴーの眠りを解き、口の中に広がる味わいに時の流れのゆるやかささえ感じるティータイム。マンゴーとウバ紅茶それぞれが、ティータイムを通じたこの出会いの喜びを、相性豊かな味わいを通じて私たちに「おいしさ」として届けてくれていると感じる素敵なハーモニーです。

斉藤由美(英国紅茶研究家/ライター)

斉藤由美(英国紅茶研究家/ライター)

日本紅茶協会認定ティーインストラクター、ティーアドバイザー。

大学卒業後、ブルックボンド紅茶に勤務。その後、ユニリーバでリプトン紅茶のPRを担当、20年以上にわたり紅茶メーカー勤務の経験を持つ。

これまで多数の紅茶セミナー、講演、テレビ出演、ラジオ出演、雑誌、新聞などでも活躍。現在は秋田県大館市の自宅で紅茶レッスン「イギリス時間、紅茶時間」を主宰するほか、秋田カルチャースクール、ヨークカルチャーセンター弘前で英国紅茶講座を担当している。

主なテレビ出演:「ためしてガッテン」(NHK)、「王様のブランチ」(TBS)他。四冊目の著書「しあわせ紅茶時間」(日本文芸社)を2015年10月に出版、好評発売中。

秋田県大館市在住。


羽二重餅ギフト12個入りのご紹介

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